研究課題/領域番号 |
18K12500
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
久保田 裕次 国士舘大学, 文学部, 講師 (70747477)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経済大国 / 第一次世界大戦 / 対中国国際借款団 |
研究実績の概要 |
主に、①国内外での第一次世界大戦に関する歴史資料の調査、②論文執筆・学会発表を実施した。①に関しては、まず、国内での歴史資料の調査に関しては、国立国会図書館や九州大学記録資料館等において、第一次世界大戦期に活動していた政治家や実業家の一次史料を閲覧・複写した。次に、国外では、イギリス国立公文書館やHSBC Group Archives in Londonでイギリス外務省や第一次世界大戦のイギリスの対中国投資の中心的な存在であった香港上海銀行(HSBC)に関する一次史料を閲覧・複写した。 以上のことから、本研究のテーマである近代日本の「経済大国化」の画期となった第一次世界大戦期における日本国内の政治経済的な動きとそれに対するイギリス側の対応を検討するための資料を集めることができた。 ②に関しては、まず、近代日本の「経済大国化」、特にその対外的側面である、対中国国際借款団と日本との関係に関する論文2本を発表した。1本目は、第一次世界大戦期の国際借款団内での日英関係を考察し、日本の地位が上昇していく過程をイギリス側の動向を踏まえて検討したものである。2本目は、前史として、第一次世界大戦以前の国際借款団そのものを歴史的意義を考察したものである。次に、学会発表に関しては、第4回東アジア歴史研究者協議会にて、「近代日本の南進政策―第一次世界大戦期を中心に―」という報告を行い、近代日本における「経済大国化」と南進との関わりを探った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一次世界大戦期の日本の「経済大国化」に関する国内外での歴史資料の調査はおおむね順調に行うことができている。それにともない、日本の「経済大国化」に関する諸側面の分析や海外からの見方に関する検討を進めている。一方、本研究に関する学会や研究会での報告をより積極的に行う必要がある。また、日本近現代史や国際関係史以外の研究者との交流もさらに実施する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、歴史資料の調査を行うとともに、学会・研究会での発表や論文の執筆を行うなど、これまで以上に研究成果を出していく必要がある。社会状況や国際状況のため、2020年度は国内外での調査を十分に行うことが出来ないことが予想される。それを踏まえたうえで、これまでに収集した歴史資料の分析と論文や著書などの形での成果の発表を目指す。第二に、「近代日本の「経済大国化」」とは差しあたってどのような特徴を持っていたのかを考える手がかりを得るとともに、近代にとどまらず、近現代日本の「経済大国化」を捉えることができるような視座を得ることができるように、調査や分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた調査が延期となり、その分の旅費が不要となったため。次年度は、旅費をともなう調査を行うことが困難な状況にある。よって、これまでの調査で収集した歴史資料の整理や分析などを行うため、物品費や人件費を有効に使用し、研究を進めていきたい。
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