本来は一昨年度が本研究の最終年度であったが、コロナ禍の影響で予定していた復員・援護制度に関する行政文書を所蔵する文書館等の公的機関の利用制限等の影響で所蔵資料調査の制約を受ける等の事由により、研究期間を一年間延長することとした。 地方自治体の公的機関等が所蔵する戦後の復員・引揚援護制度に関する行政文書の資料調査及び収集と、本研究の主な研究課題である元軍人軍属短期在職者協力協会(以下「軍短協」と略)をはじめとした旧軍人団体が発行した年史や機関紙等の調査及び収集を行った。また、これまでに調査で収集した資料の整理と目録の作成を行った。 また、軍短協の旧蔵資料の整理を引き続き行い、詳細目録の作成と一部の資料のデジタル化を実施した。なお、本目録と関連資料集の刊行及び公的機関での本資料群の保存活用に向けた関係機関との調整及び作業中である。 戦後日本の旧軍人に対する復員・援護制度は一義的には国の施策によるところが大きいが、戦後の主な復員・引揚港を有する地域や民間人の引揚者を多く受け入れた地域、戦前戦中を通じて多くの海外移住者を送り出した地域など、戦後の復員者・引揚者の受け入れ状況に応じた各自治体ごとに復員・援護施策の特徴が見られた。また、各地域で生まれた旧軍人団体は、その団体の政治的基盤に応じて活動内容に特徴があり、軍人恩給制度の改善要求をはじめとした諸活動の拡大を図るために他の旧軍人団体等との連携も見られた。
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