研究課題/領域番号 |
18K12519
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
小倉 智史 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (40768438)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ムガル宮廷 / ヨーガヴァーシシュタ / ペルシア語 / 翻訳 |
研究実績の概要 |
本年度はファルムリーによるアクバル版ペルシア語訳の入力を引き続き進めるとともに、Dr.Pegah Shahbaz(トロント大学)と入力済みのテキストの校合作業を行った。概ね空寂編の半ばまでの写本校合(ダブリン写本・ラホール写本)と、ペルシア語表記のチェックを行うことができた。なお、サンスクリットからの借用語については一部特定できなかった箇所が残ったため、21年度に再度サンスクリット原典との比較をして確認する。 パーニーパティー訳、ファルムリー訳、ダーラー・シュコー監修訳の間での訳文の比較については、これまでの作業の成果を、2020年9月にオンラインで開催されたAAS-in-ASIA 2020で報告した。これはDr.Shahbazと研究者が組織したパネル報告"Religion in Translation and the Acculturation Patterns in South and Central Asia"に含まれるものである。また2021年2月には、Professor Syed Amir Hasan Abidi Memorial Society(サイイド・アミール・ハサン・アービディー教授記念財団)からの招待を受けて、同協会とデリー大学との共催で開催されたオンライン・シンポジウム"International Centenary Conference on Indo-Persian Literature and Culture and Heritage of Professor S. A. H. Abidi"でも、3種類の『ヨーガヴァーシシュタ』ペルシア語訳の訳文の違いに関する報告をした。特にファルムリー訳はインドの研究者の間でもあまり存在が知られておらず、この翻訳の訳文を扱った研究もなかったため、シンポジウムの参加者からは肯定的なフィードバックを受けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国外の研究者との共同作業によって、研究計画に含められていたファルムリー訳の校訂テキスト作成を進展させることができた。また、2度の国際会議でこれまでの研究成果を報告することができた。昨年度の研究進捗において、パキスタンのカラチに写本調査に行く必要が生じたが、コロナ禍の現状に鑑みて当分は実施できない見通しである。とはいえ現在の作業に大きな影響は及ぼさない。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍のために今年度は予算の執行ができなかったため、研究期間を1年間延長した。引き続きファルムリー訳の校訂テキストの作成をDr. Shahbazと共に進めていき、作業終了後に出版を準備する。また、複数のペルシア語訳の訳文比較についても、研究をまとめた成果を国際誌に投稿するよう、準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、今年度に予定していた国際会議の開催を延長した。そのため計上していた旅費をまったく使用しなかった。また、現地調査も実施せず、2020年度は予算を執行する機会がなかった。2021年度中に国際的にCOVID-19のワクチン接種が進むことが予想されるので、21年度末に改めて『ヨーガヴァーシシュタ』ペルシア語訳に関する国際会議を開催する。繰越金はそのための旅費等に充てる。
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