本研究課題の助成期間中に、予定していたファルムリー版ペルシア語訳の校訂作業を終えた。既に校訂テキストが出版されていたパーニーパティー版、ダーラー・シュコー版と比較して、ファルムリー版のテキストはダブリン写本に挿入されている絵画の美術史的研究を別とすれば、先行研究において分析対象とはなっておらず、本課題で作成した校訂テキストが発表されれば、今後広く研究の発展に貢献する。また、複数の翻訳テキストの文章を比較したことで、これまでヴェーダーンタ思想とイブン・アラビーの存在一性論の近接といったような主張がなされていた先行研究の議論に、各々の翻訳者が採った翻訳ストラテジーの違いを明らかにすることができた。
|