研究課題/領域番号 |
18K12527
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
会田 大輔 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (70551844)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 正史 / 歴史像 / 南北朝 / 北周 / 六官制 / 帝王略論 |
研究実績の概要 |
本研究は①南北朝の史書編纂における「事実」の意図的忘却、②唐初の正史編纂事業における公定歴史像の創出、③北朝系官僚による一族の歴史の創出の三つの観点から、隋唐代における南北朝歴史像の忘却・創出過程の解明を目指している。今年度は、①・②の観点から以下の研究を行った。 ①については、2018年に学会報告した北周における六官制(『周礼』的官制)の特徴と変遷について、文章化を進め、「北周政治史与六官制」と題して、『中国中古史研究』第7巻(中西書局、2019年12月刊行予定)に発表した。本稿は北周前期(宇文護執政期)・北周後期(武帝親政期)・北周末期(宣帝期・楊堅執政期)の官制構造をまとめたものである。また、唐代における北周の六官制の忘却過程について、検討を進め、論文化を進めている。 ②については、正史の相対化に欠かせない史料である『帝王略論』の史料批判研究を進め、「『帝王略論』と唐初の政治状況」と題して、榎本淳一・河内春人・吉永匡史編『アジア遊学242 中国学術の東アジア伝播と古代日本』(勉誠出版、2020年1月)に発表した。本稿では、唐初に成立した『帝王略論』が唐初の玄武門の変や仏教政策の影響を受けていることを論じた。また、北周の武帝の歴史像の形成過程について、正史と隋唐代の諸史料との比較をより厳密に行い、文章化を進めている。また、南朝梁の武帝とその側近の歴史像の形成過程について、正史と梁・陳・隋の諸史料との比較検討を深めて文章化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①南北朝の史書編纂における「事実」の意図的忘却、②唐初の正史編纂事業における公定歴史像の創出、③北朝系官僚による一族の歴史の創出の三つの研究テーマの内、①・②については研究を進め、論文として実績を出すことができた。しかし、発表できた論文は2本にとどまったこと、それ以後の論文執筆に予想以上に時間がかかっているため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
①南北朝の史書編纂における「事実」の意図的忘却、②唐初の正史編纂事業における公定歴史像の創出、③北朝系官僚による一族の歴史の創出については、研究成果を積極的に公開していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月・3月に国内学会報告に参加予定だったが、新型コロナ流行の影響で中止となってしまい、物品費として使う時間的余裕もなかったため余ってしまった。物品費として使用する予定である。
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