研究課題/領域番号 |
18K12529
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
鶴田 綾 中京大学, 国際教養学部, 講師 (00732851)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ルワンダ / 難民 / 国際政治史 / アフリカ研究 |
研究実績の概要 |
2018年度前半の研究実績は以下の通りである。 (1) エディンバラ大学から2014年に博士号を取得した英語による博士論文を、日本語に翻訳し、大幅に加筆・修正を施したものを『ジェノサイド再考-歴史のなかのルワンダ』というタイトルで名古屋大学出版会から出版した。本書は、「なぜ1994年にルワンダでジェノサイドが起こったのか」という問いを、ルワンダの政治史を振り返ることで明らかにしようと試みたものである。ルワンダ史に関する日本語の専門書としては、武内進一氏の『現代アフリカの紛争と国家-ポストコロニアル家産制国家とルワンダ・ジェノサイド』(明石書店、2009年)以来で、日本でルワンダに対する理解を深めることに貢献したのではないかと考えられる。また、本研究のテーマである「旧難民」についても、二次文献および以前に収集した国際連合の史料から、「旧難民」内の多様性及びルワンダの国家形成及びエスニシティに与えた影響を、部分的ではあるものの、記述した。
(2) ルワンダ・国際政治・難民・アフリカに関する書籍を購入し、先行研究の整理を開始した。本研究の対象である1960年代のルワンダ難民については、ブルンディ難民や1994年以降のルワンダ「新難民」とは異なり、依然として研究が少ないことが確認できた。また、近年ルワンダ政府に対する国際的な批判が高まっているものの、歴史的な視点をとるものは多くないため、本研究の独自性及び重要性も改めて理解できた。さらに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の歴史などを把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018年度後半から史料収集を行う予定であったが、2018年度後半から1年間、産前産後の休暇及び育児休業を取得することになったため、2018年度後半から研究が中断している状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度後半に育児休業から復帰する予定であるが、1年間のブランクがあるため、以下のように研究計画を修正したい。 (1) 史料収集先を限定する。当初の計画では、ヨーロッパ(イギリス・スイス)、アメリカ、アフリカ(タンザニア・ウガンダ)での史料収集を計画していたが、乳児を置いて(もしくは連れて)長期出張に赴けないこと、また研究助成期間内に論文を投稿する必要があることから、アフリカでの史料収集を取りやめ、ヨーロッパとアメリカに限定して、2019年度後半及び2020年度前半に史料収集を行いたい。 (2) (1)と関連し、明らかにする問いを限定する。当初の研究計画では、①ルワンダ国外に逃れた「旧難民」は、当時の世界やルワンダに対してどのような認識を持ち、どのような行動を取っていたのか。難民庇護国ごとに生活環境に違いは見られたのか。「旧難民」内の関係はどのようなものだったのか。②各難民庇護国は、「旧難民」に対してどのような対応を取っていたのか。また、OAUや国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、どのような対策を講じていたのか。当時の冷戦状況は、「旧難民」及びこれらの国際組織にどのような影響を与えていたのか。③旧難民は、ルワンダの国家形成にどのような影響を与えたのか、の3点を問いとして提示した。しかし、アフリカでの史料収集を止めた場合、②の各難民庇護国に関して明らかにすることが困難になるため、①と③を優先して、明らかにしたい。 (3) 英語での論文投稿を優先させる。当初の計画では、日本語及び英語で論文を1本ずつ投稿するとしていたが、研究期間内に2本論文を投稿することが難しいと判断される場合、英語での論文投稿を優先させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
「進捗状況」及び「今後の研究の推進方策」でも記述したが、2018年度後半から史料収集を行う予定であったが、2018年3月末に妊娠が発覚し、2018年度後半から1年間、産前産後の休暇及び育児休業を取得することになったため、2018年度後半に行う予定であった史料収集が実施できなかった。2019年度後半に育児休業から復帰後は、ヨーロッパとアメリカに限定して史料収集を実施する。
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