研究課題/領域番号 |
18K12532
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
中尾 世治 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任助教 (80800820)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イスラーム / 西アフリカ内陸 / 文字言語の社会的布置 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルス感染症の影響により、海外への渡航が困難になった結果、これまでの調査を踏まえた研究成果発信につとめ、その成果発信のための書籍刊行にかかる予算を物品費として支出した。具体的には、『年報人類学研究』において「西アフリカ・イスラーム研究の新展開」と題した特集を組み、査読付き論文の4本の刊行をおこなったことに加え、『西アフリカ内陸の近代:国家をもたない社会と国家の歴史人類学』を風響社から出版した。前者では、ローカルな歴史的コンテクストを踏まえて、ボボ・ジュラソにおいて1940年代後半から1960年代までに設立されたメデルサとその設立運動におけるイスラーム教育の断絶と連続性を、言説的伝統と文字言語の社会的布置という点から明らかにした論文のみならず、西アフリカ・イスラーム研究の広範なレビューをおこなったレビュー論文を2本掲載し、本科研のテーマであるリテラシーの社会的位置づけをさまざまな観点から明らかにした。本特集では、2000年代以降の西アフリカ・イスラーム研究の新潮流の紹介と具体的な研究成果の提示をおこない、序論では、イスラームの人類学におけるイスラーム的日常をめぐる近年の研究を踏まえつつ、アサドによって提示された言説的伝統という概念の再解釈と再定義をおこない、本特集の理論的な射程を明らかにした。後者の書籍については、全国紙に他地域を専門とする歴史研究者による書評が掲載されるなどの反響があり、本科研で対象とする時代と地域の歴史的コンテクストを厚みを持って記述し、今後の西アフリカ内陸の歴史研究に大きく貢献するものとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症によって、海外での調査は中断せざるをえなかったものの、成果発信に努めつつ、国内所蔵の史資料の収集をおこない、予想外の事態にもかかわらず、柔軟かつ的確に対応したものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においても、新型コロナウィルス感染症の状況を考慮しつつ、可能であれば、欧州諸国の公文書館での史料調査、困難であれば、国内の各機関に所蔵されている史料調査や国内の異分野の研究者との会合をおこないつつ、研究対象をせまく限定せずに、幅広い角度からリテラシーの社会的位置づけについての研究をおこなっていくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は新型コロナウィルス感染症の影響によって、海外の渡航が不可能であり、フランス及びマリでの史料調査の実施をおこなうことができなかった。そのため、当該年度は研究成果の発信に注力し、国内での史料調査や異分野の研究者との共同の可能性を模索していた。こうしたことを踏まえて、本年度は国内での史資料の収集とともに、国内の研究機関に所属する異分野の研究者との研究会合などの国内旅費に研究費を使用する予定である。
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