研究課題
研究期間全体での成果としては、著書1冊、査読付き学術誌での特集が最も大きなものであった。著書の『西アフリカ内陸の近代』では、ブルキナファソのムフン川湾曲部における前近代から20世紀半ばまでの長期的な歴史的変動を明らかにし、政治、経済、宗教の大枠での変化を明らかにした。本著作によって、リテラシーを植民地統治以前と以後の双方において考慮し、その政治・経済・宗教のそれぞれの側面での意義とそれらの関連について明らかにした。なお、本著作は日本アフリカ学会研究奨励賞を受賞し、フランス語圏西アフリカにおける歴史研究に一定の貢献を果たしたといえる。また、特集では、「西アフリカ・イスラーム研究の新展開」と題したワークショップをもとにし、同名の特集を『年報人類学研究』において構成し、イスラームの人類学における言説的伝統の概念を援用し、書記言語ごとに言説を構成する伝統が異なっていること、それらの伝統の差異がブルキナファソにおけるイスラーム改革主義運動の活動に深く影響を及ぼしたことを明らかにした。これらを踏まえたうえで、書記言語としてのアラビア語を解さず、フランス語を主たる書記言語として活動をおこなったアマドゥ・ハンパテ・バの活動と思想について、日本アフリカ学会での口頭発表を含む複数回の研究発表をおこない、それらの成果は、アマドゥ・ハンパテ・バも寄稿した『プレザンス・アフリケーヌ』誌に掲載された代表的な論文の翻訳と解説を含んだ書籍のなかで2023年度内に刊行される予定である。
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『人類学研究所研究論集』
巻: 12 ページ: 111-126