研究課題/領域番号 |
18K12533
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
小森 真樹 武蔵大学, 人文学部, 専任講師 (70808873)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ミュージアム(美術館・博物館) / 文化史 / 医学史 / 医学芸術 / 制度論 / ロンドン |
研究実績の概要 |
今年度は、これまでに収集したアメリカの医学博物館・美術館に関するデータの分析と考察を行った。並行して他地域との比較研究を進め、ロンドンの複数の医学博物館や美術館にて実地調査を行い、関連する文書館で一次資料を対象にした文献調査を実施した。 ロンドンで実施した文献調査では、以下の結果が出ている。医学をテーマとした芸術作品・展示を様式的変遷や各事業の関係を調査し、また、前年度のフィラデルフィアのムター博物館を含むアメリカ合衆国における医学博物館との歴史的なつながりや関連についても調査した。一部を挙げると、ウェルカム協会、王立医師協会、ゴードン病理学博物館においては資料の利用・公開要件に関する情報を得た。また、セントトーマス病院の手術室の公開事例からは医学を文化資源として活用することに関して、また王立芸術アカデミーにおける人体展示からは遺体を芸術品として利用する歴史についての情報を得た。これらと関係する文献調査についても、予備調査として資料の所在等に関する一定の情報を得て、今後の調査の要点・計画について確認をすることができた。 これまでの成果の一部は、以下などの学会報告として発表した。アメリカ研究、文化研究、芸術学、ミュージアム研究等を専門とする研究者から意見をいただきそれ以降の調査に生かした。
「変えられる遺体――フィラデルフィアのミュージアムと『芸術』の蒐集・研究・展示」日本アメリカ学会年次大会 2019年6月
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度の研究では、アメリカ合衆国外の地域での文献・実地調査が順調に行われ、医学が芸術として評価される過程に関して、過去の成果をより広い視角や地域的・歴史的射程から把握することができた。また今後の調査へと発展する予備調査の成果も出た。今後の見通しも立ち計画は順調に進んでいる。以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和二年度は、今年度の発展に応じた追加調査及び地域的な比較研究を行う。他方で、前年度冬季以降現在に至るまで、新型コロナウイルスの影響下で計画変更を余儀なくされており、今後は当初の計画を慎重に修正していきたい。状況が許せば、ロンドンやパリ、ベルリンなどでの文献収集及びフィールドワーク、また、米国フィラデルフィアでの詳細な追加調査を計画する。
今年度の発表で得られた指摘を受けて調査を実施した成果は、引き続き、学会報告・論文・書籍等の形で発表していく予定である。
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