パンデミックの影響で変更した計画に沿って研究を進めた。最終年度となる本年度は、主にこれまでの研究を発表することに努めた。
それらを大別すると、(1)当初の研究の焦点であった博物館・美術館に関する歴史研究、(2)対象を広げミュージアム以外の対象も含めたパブリックヒストリーの調査、及び(3)パブリックヒストリーの実践及び方法論研究である。 (1)フィラデルフィアの医学博物館における芸術展事業の事例について継続的に調査した。直近の動向に関して発表した際、博物館の脱植民地化改革というより大きな視座で本事例及び主題を位置づける方向へと研究が展開した。その結果、「若手研究課題21K13148」とも有機的に交差し、本課題の成果は、今後の科研事業へと引き継ぐことができる。(2)引き続き、歴史の語りが社会に普及する方法を幅広く捉えるパブリックヒストリーの方法からミュージアム及び芸術領域以外も広く対象にする方針で調査を続けた。(3)研究発表はパブリックヒストリーの実践としても展開し、即時的で対象を拡げた解説記事の執筆、展覧会の実施、シンポジウム開催、ジャーナル運営などを通じて情報発信してきた。同時にこれらを方法論的な研究としても位置づけ、研究手法自体を実践的に考察してきた。これは、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の研究課題「マルチモーダル人類学とアートの実践に根差したプラットフォームの形成」で次年度以降引き継いで研究する。
研究成果は、論文・書籍等の形で発表した。
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