研究課題/領域番号 |
18K12541
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
角田 奈歩 東洋大学, 経営学部, 准教授 (10623209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ファッション / モード / 奢侈 / 半奢侈 / パリ / レース業 / 18世紀 / 19世紀 |
研究実績の概要 |
本年度は6月に,リヨン第2大学Natacha COQUERY教授を招聘し,城西大学井上直子講師にもご参加いただいて,ワークショップ「奢侈/半奢侈とファッション」を開催し,また「18~19世紀におけるフランスの「モード」と奢侈/半奢侈」と題して発表を行った。これにより,本研究課題の全体に関わる重要タームである「奢侈/半奢侈」概念についての実証的な考察が進められた。 また8~9月にかけてはベルギー,オランダ,フランスで調査を行った。前年度のアランソンでのレース調査により大きな成果が得られたことから,本年度はさらに各地のレースに関する調査に重点を置いた。ブルッヘ,シャンティ,コドリなどで実物調査を行う他,ライデンではTextile Research Centreでのレース識別法ワークショップに参加し,より実践的なレースに関する知識を得た。これらについては,前年度のアランソンでの成果や,前年度3月に学内研究費で行ったヴェネツィアでの調査結果と併せ,現在までの成果を研究ノートにまとめた。 パリでの史料調査については,昨年度同様,やはり失われたものが多いことが改めて確認された。さらに,その不足を補うため,20世紀との比較研究を考えたが,これについても専門の研究者と相談したところ,20世紀についても類似の史料はほとんどないことが確認された。いくつか案はあるが,新たな方策が必要である。 また初学者向けに執筆していた奢侈と半奢侈とモードを巡る論考が出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り奢侈/半奢侈を巡るワークショップを開催できたこと,レース業についての調査が進み,一定の成果を発表できたこと。パリに関する史料は依然として残存状況に問題が多いが,これはある程度は予想されていたことであり,やむを得ないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,フランスから研究者を招聘してパリ・モードの影響力についてのワークショップを開催し,またヨーロッパでの調査,特にレース関係についてはザンクトガレンなどの19世紀の工業化以降に生産が進んだ地での調査を行う予定だったが,2つの理由で極めて不透明である。 1つは,当初招聘を予定していた研究者が昨年急逝されてしまったことである。これについては,故人の研究成果を活用しつつ,類似テーマについて異なる時代・地域を扱っている日本人研究者を招聘してのワークショップ開催を考えている。 しかし,新型コロナ・ウィルスの世界的流行という2つ目の問題から,ワークショップ開催や海外渡航などといった計画はすべて実施できなくなる可能性が高い。2020年度はまずはこれまでに収集した史料の分析などを進め,世界の情勢を見つつ,場合によっては期間延長も考えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ワークショップ開催に関する招聘旅費,人件費・謝金が予定より多くかかったため,物品購入を控えたところ,逆に物品購入費に残額が生じることになった。
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