研究課題/領域番号 |
18K12542
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
黒田 祐我 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (50581823)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地中海 / スペイン / 交流史 / マグリブ / グラナダ / 異文化交渉 |
研究実績の概要 |
本年度は海外渡航が一切できず、予定していた2回の海外資料調査(バレンシア、パレルモ)のどちらも実施できなかった。そこで研究方針を国内で実施可能な以下のものへと変更して可能な限りの研究を進めた。 1)本研究に関連する刊行史料と研究文献の渉猟。中世の西地中海圏に関する刊行史料と研究文献を重点的に入手して研究に生かした。 2)隣接分野の国内研究者との定期的なオンライン打ち合わせの実施。中・近世西地中海圏を専門とする複数の研究者ら(スペイン中世美術史、13世紀のスペイン文献学、中近世マグリブ史、中世シチリア史)と定期的にオンラインで意見交換を行い、将来的な共同研究の枠組みを模索しながら、自身の研究に対する具体的な指針を得ることができた。 3)国外研究者とのオンライン打ち合わせの実施。本研究でバルセローナの史資料調査で協力を仰いできたリェイダ大学F.サバテ教授とオンラインで意見交換を行った。なお本研究の成果は、サバテ教授のアラゴン連合王国に関する論考の邦訳というかたちで公表される予定である。 4)本研究の成果として、①イベリア半島の中世都市類型についての邦語論考と、②キリスト教諸国に仕えるムスリム君侯に関しての英語論考を刊行することができた。①では、「フロンティア」ならではのイベリア半島に特有の「辺境都市」という類型に着目して、12世紀の「エストレマドゥーラ」の諸都市、15世紀へレス・デ・ラ・フロンテーラとハエンというふたつの対ナスル朝辺境都市の実態をとりあげた。②では、主に中世盛期(11世紀~13世紀)のキリスト教諸国に仕えるムスリム君侯のすがたを史料に即して明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はコロナ禍によって、一切海外調査ができなかったため、西地中海圏という全体像を描き出すための枠組みの構築に遅れが生じている。それでも、その代わりに、国内の当該分野の研究者らとの意見交換を実施して、将来の共同研究への足がかりを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は最終年度であるが、状況によってはやはり海外調査や海外での学会報告は不可能となろう。その場合は、2020年度と同様に国内の研究者との意見交換を定期的にオンラインで実施しつつ、これまでの研究成果を刊行することに注力するつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって予定していた2回の海外調査が不可能であったため。2021年度も海外調査が不可能な場合は、文献や資料の購入に研究費を重点的に充てるとともに、海外とのオンラインによる意見交換や調査、国内研究者との共同研究を模索する形に替えることを検討する。
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