研究課題/領域番号 |
18K12542
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
黒田 祐我 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (50581823)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 異文化交渉 / 地中海 / スペイン / マグリブ / アンダルス / グラナダ / 13世紀 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き海外調査がかなわなかった本年度は、国内研究者との意見交換を軸に据えて、その成果を報告した。 ①13世紀イベリア半島の異教徒間交流をめぐって、国内研究者との連携の強化を達成した。13世紀カスティーリャ王アルフォンソ10世(在位:1252-1284年)の時代を軸に、昨年度に引き続きスペイン美術、スペイン文献学、そして中近世マグリブ・アンダルス史研究に携わる研究者らとの意見交換をオンラインで定期的に実施した。この意見交換のなかで、同王の治世期を画期とする西地中海情勢の変動を見定めるとともに、これまで研究上考えられてきた以上に、ヒトやモノ、そして政治についての理念と実践をはじめとする思想から世界認識という知識においてすら、西地中海圏というなかで激しく移動し共有がなされていたことが明らかとなってきた。 ②中世後期から近世にかけての西地中海世界について、国内研究者との連携の強化を達成した。西欧キリスト教世界内部に居住するムスリムに関する研究の現状について、西洋中世史、中世イスラーム史を専門とする複数の国内研究者との意見交換をオンラインで定期的に実施した。この意見交換によって、各分野の最新の研究動向を把握するとともに、中世から近世にかけての西地中海圏をめぐる動静についての全体像を明らかにした。 ③昨年度に引き続き、国外の研究動向を把握するべく、出版された史資料と最新研究の入手とそれらの内容把握を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、一切海外調査を実施することはできなかったものの、北(ヨーロッパ)と南(マグリブ・イフリーキヤ)を包摂した西地中海圏という枠組みにおけるヒトやモノ・そして情報の往還についての史資料と研究の現状について、隣接する分野の研究者らとの意見交換を経て、おおむね把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、国内の研究者との意見交換を実施しながら、最終年度として成果の提示に注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた海外渡航を伴う史資料調査と、国外研究者との研究打ち合わせが実施できず、急遽、国内研究者との連携に計画全体をシフトさせたため残額が発生した。次年度については、世界情勢に応じて、引き続き国内での研究成果の提示に専念するか、あるいは海外調査を一度行う予定である。
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