ユネスコの理念とは異なる歴史学的な意義を踏まえ、アウクスブルクの水利システムの歴史を整理した論文を『西洋史学』の特集「環境史の課題」に発表した。また、九州西洋史学会にてシンポジウム「ヨーロッパ史における水の資源化とその管理・統制」を企画し、「帝国都市アウクスブルクにおける水の利用とその管理」と題した研究報告を行った。さらに、中近世ヨーロッパ都市における水の管理・利用は、下水処理なども含め、都市の公衆衛生や生活環境とも深くかかわっていたことを解明し、中近世都市を何度も繰り返し襲ったペスト被害やその対策についても考察の対象を広めることができたのは、本科研プロジェクトの成果の一つともいえるだろう。
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