研究課題/領域番号 |
18K12547
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松浦 真衣子 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (40737235)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グローバルヒストリー / 海事史 / 国民国家建設 |
研究成果の概要 |
1990年代以降のギリシャ海事史の成果と課題を総括し、西欧中心主義を否定する新たなグローバル・ヒストリーの叙述を紹介した。この分野では、これまで周縁とされた地域が、地縁・血縁ネットワークを通じて国境を越えた「ギリシャ性」を創出していく過程が分析されている。本研究では、この「ギリシャ性」を追求するために、海事産業で発展したキクラデス諸島を調査した。具体的には島々の経済的・文化的要因から生み出された住民の語りを調査し、各島固有のアイデンティティを抽出した。今後は、各島のアイデンティティがいかに絡み合い、島民-ギリシャ人意識を融合させた「国民意識」を形成していくかを調査する。
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自由記述の分野 |
近代ギリシャ史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界システム論において半周縁に位置するエーゲ海の島々は、20世紀期の世界海運をけん引したギリシャ船主揺籃の地である。近年の海事史はギリシャ人が創りあげた地縁・血縁ネットワークが、国民とは異なる「ギリシャ性」を生み、ギリシャ海運を世界システムの中心に据える原動力となったことを明らかにしている。本研究ではこの「ギリシャ性」を分析するため、国民化の時代に、海運揺籃の地でいかなるアイデンティが育成されてきたかを検討した。多様なアイデンティティは生存戦略を通じて、時に国民化に呼応し、時に反発した。本研究では地域からの国民化は戦略的に変形し、国家の意図に反して国境を越えていくことを明らかにしている。
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