本研究の目的は、アメリカ合衆国有地および部族保有地から出土した先住民族の遺骨・副葬品等の保護および返還に係る法制度(NAGPRA)とその運用手続を理解し、日本でも整備が急がれているアイヌ民族の精神文化に配慮した埋蔵文化財の管理体制構築の示唆を得ることである。主な成果としては、①NAGPRAに基づく出土した先住民族の遺骨・副葬品の返還手続の特徴と課題、②アメリカ本土先住民とハワイ先住民の法的立場の差異による運用手続の相違、③関係者(国有地または部族保有地管理者、発掘請負会社、関係する部族等)の協議に基づく遺骨・副葬品等の保護・返還のあり方、について考察を深めることができた。
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