本研究では、新石器時代後期に西アジアで発生し初期国家形成期のエジプトで威信財(稀少石器)として独自の技術的変容を遂げたフリント製両面加工ナイフについて、その製作技術および特にエジプトでの発達過程を検証した。 まず、初期国家形成期のエジプトで発展した波状剥取ナイフの複製実験を通して製作技術の特徴を明らかにし、同期にこれが普及する背景について論じた。また、当該期の代表的な遺跡であるヒエラコンポリスにおけるこれらの石器の生産から副葬までの流れを考察した。最後に西アジアについては、新石器時代の乾燥域(南レヴァント)の石器群の特徴についてまとめた。
|