研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、エジプトのギザ遺跡に位置する第4王朝時代のカフラー王(紀元前2472-2448年頃)のピラミッド複合体に組み込まれたスフィンクスならびにスフィンクス神殿の3D計測調査を行い、古王国時代第4王朝の巨石建造技術を理解するための3Dデータの収集に従事した。昨年度に引き続き、機材は、地上設置型の3Dレーザー・スキャナ(FARO Focus3D X330)、ならびにアクション・カメラGoPro5, 6, 7と、LUMICA Bi Rod 6G-750を用いた。これに加え、今期は、DJI Phantom 4 Pro drone を用い、スフィンクス単体と、スフィンクスが位置するギザの中央墓地の338m x 292mのエリアを撮影し、計2,264 画像データを取得した。それらのレーザースキャナのデータと画像データからStructure from Motionで生成される3Dデータは、関西大学と株式会社World Scan Projectの協力を得て、統合が試みられている。 スフィンクス調査に加え、古王国時代の巨石建造における技術変化を調査するために、ギザ遺跡から南に11キロに位置するアブシールに建造された第5王朝時代のラーネフェルエフ王(紀元前2404年頃)の未完成の王墓の3D計測調査の予備調査も行った。この調査も、スフィンクスと同様の機材を用いて行われた。これは、名古屋大学、エジプト考古省、チェコ・エジプト学研究所、関西大学、長崎県立大学、株式会社ラングの産学官共同プロジェクトとして行われ、このデータ取得によって、アブシール遺跡のネフェルイルカラー王のピラミッド、ニウセルラー王のピラミッドともに、計3基の王墓の3Dデータ取得がされたことなる。
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