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2020 年度 実績報告書

紀元前一千年紀前半の気候変動期における縄文晩期社会システムの変容プロセス

研究課題

研究課題/領域番号 18K12557
研究機関国際教養大学

研究代表者

根岸 洋  国際教養大学, 国際教養学部, 准教授 (20726640)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード亀ヶ岡社会 / 居住システム / 祭祀システム / 低湿地遺跡 / 環境変動
研究実績の概要

本研究課題の目的は、地球規模の寒冷期に相当する紀元前一千年紀前半の、縄文晩期の亀ヶ岡社会が初期農耕社会へと変容したプロセスを、社会システムの変容に着目した多角的視点から明らかにすることである。紀元前一千年紀前半とは、おおよそ紀元前10世紀から同5世紀に相当し、考古学的には縄文晩期中葉から弥生前期までの期間を指す。この時代の東北地方では精巧な土器や漆製品で知られる亀ヶ岡文化が栄えていた。かつてはその後半段階に文化的停滞や社会の縮小が起こったと解釈されていたが、近年は西日本まで亀ヶ岡系土器や漆製品が分布することが指摘され、亀ヶ岡社会と初期の弥生社会とを結ぶ交流関係があったことが明らかにされている。また気候変動も高精度に復元され稲作農耕の広がりとの関係が議論されており、亀ヶ岡社会の変容を多角的に問い直す作業には一定の意義がある。
本研究で分析対象とした地域は秋田県の雄物川流域である。第一に、大規模集落遺跡である上新城中学校遺跡(秋田市)の発掘調査を過年度に実施し、居住域を囲む溝跡の年代を特定し木柵との関係を検討することで、当該期における居住システムの特徴を明らかにした。第二に、代表的な低湿地遺跡である鐙田遺跡(湯沢市)出土遺物の再整理を研究期間全体を通して、またボーリング調査は今年度にそれぞれ実施し、縄文後期に始まる遺跡の継続期間と環境変動との関わりを考察した。同遺跡から出土した土偶等の土製品の編年を提示し、当該期の祭祀システムの変容の実態を論じた。本研究課題の成果について書籍及び科研費報告書として刊行した。
本研究では縄文晩期後半における居住・祭祀システムの変容プロセスを明らかにした。特に土偶・土製品の研究によって亀ヶ岡文化研究全体に貢献する事ができる。また溝跡の構築が縄文晩期全般に渡ることを明らかにできたため、今後日本列島全体を対象とした研究へと発展させることが期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 東北地方における弥生前期・中期の碧玉製管玉2021

    • 著者名/発表者名
      根岸 洋・大上立朗
    • 雑誌名

      籾

      巻: 10 ページ: 159-163

  • [学会発表] 上新城中学校遺跡における縄文晩期後半の溝跡(木柵跡)とその評価2020

    • 著者名/発表者名
      根岸 洋・西村広経・隈元道厚・関根有一朗・國木田 大
    • 学会等名
      日本考古学協会第86回総会
  • [図書] 紀元前一千年紀前半の気候変動期における縄文晩期社会システムの変容プロセス2021

    • 著者名/発表者名
      根岸 洋(編)
    • 総ページ数
      150
    • 出版者
      国際教養大学アジア地域研究連携機構
  • [図書] 東北地方北部における縄文/弥生移行期論2020

    • 著者名/発表者名
      根岸 洋
    • 総ページ数
      286
    • 出版者
      雄山閣
    • ISBN
      9784639027263

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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