江戸時代の各身分において、その食生活の違いを明らかにするのは手法の限界によってこれまで難しかった。本研究では人骨の歯に付着する歯石に着目し、歯石に含まれる食物のDNAを分析する。この手法を各身分(武士・町人・農民)の人骨に適用し、彼らが食べていたものを明らかにする。最終的には、身分の違いによって食生活がどのように異なっていたのかについて考察する。 当該年度においては、江戸時代の歯石約60個体分と現代の歯石約20個体分からDNAを抽出し、次世代シーケンサイルミナ用のDNAライブラリを作成した。このDNAライブラリは、先進ゲノム支援(https://www.genome-sci.jp/)によりショットガンシーケンスを行うこととなった。これにより、ターゲットキャプチャを行わなくても、必要十分なデータが得られるようになった。この結果はオープンアクセスの論文としてまとめ、またプレスリリースも行う予定である。また、予備的研究として位置づけられる、江戸時代の歯石13個体分の食物DNA解析結果が、PLOS ONE誌に掲載された。この研究はプレスリリースを行い、朝日新聞、読売新聞はじめ7つのメディアに取り上げられた。
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