2020年度は本資料体の特別展示の開催に向けての資料調査を行うと同時にウェブページで一般公開するデータベースの構築を進めた。データベース本公開については本資料帯が医学部所蔵のため公開のための時間を要している。2020年度に予定していたデジタル化は軽度・中度の掛図の中から40点行った。デジタル化を予定していた重度に傷んでいる掛図は本格的な修復が必要となり今後の資料保存と活用の課題となる。 2021年3月6日より所属する大学博物館《JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」》にて本資料体の特別展示「からだのかたち」を開催することができた。本特別展示は連続企画「インターメディアテク博物誌シリーズ」の第七回となる。東京大学大学院医学系研究科・医学部所蔵の解剖学掛図を一般公開し、近代解剖図における人体の描画表現について再考する場として、一年を通して歴史的な手描きの掛図を約20点ずつ定期的に入れ替える。一般公開に合わせてリーフレット、ポストカードの制作を行った。この特別展示公開期間内に本資料帯の図録出版の準備を進めており、2021年秋の出版を予定している。(所属する大学博物館にて販売予定) 2021年3月27日、岐阜大学での《第37回 岐阜シンポジウム 「人体解剖掛図の世界~数十年の眠りから今よみがえったサイエンスアート~」》に参加、登壇した。シンポジウムの内容は、医学解剖学、医学史、博物学、美術解剖学的視点から人体解剖図、医学解剖学掛図についての見解とディスカッションを行った。初年度(2018年度)に解剖掛図調査を行った岐阜大学医学部解剖学教室所蔵の解剖学掛図は本研究内の調査先の中では本資料帯の次に点数が多く、比較分析資料として有意義な発見が得られた。
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