国内外の大学で保存する手描きの掛図の調査を進めたことにより日本の医学教育、そして美術解剖学による身体表現の在り方を検証することができた。展示による一般公開とシンポジウムを通じて研究成果を幅広く社会に還元でき、解剖学掛図の歴史的位置付けを明確にできた。「手描き」の解剖学掛図は、資料体ごとに独自性を持ち、専門分野を横断して視覚的な物証として保存・活用していくべき資料である。デジタル化が先行し重視される現在の視覚世界での大学教材のデジタル画像と手描きの図との違いについても議論を促した。本研究での調査先以外の大学にも掛図が保存されている情報が得られ本研究を更に進める可能性と意義があると考えられる。
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