研究課題/領域番号 |
18K12576
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
福島 あずさ 神戸学院大学, 人文学部, 講師 (40634209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 降水量長期変動 / 降雨の地域性 / プレモンスーン / ヒマラヤ南麓 |
研究実績の概要 |
インドのグリッド化された日降水量データを用い、季節別降水量の地域性とその長期変動について明らかにした論文を出版した(Fukushima et al. 2019)。プレモンスーン季(3-5月)降水量の長期変動を調査したところ、インド北部のヒマラヤ周辺域で過去113年(1901ー2013年)にわずかな増加傾向(1.13 mm year-1)が見られたが、1960ー90年台に降水量が大幅に増えている時期があり、データの信用性が低い可能性が示唆された。また大気循環場のデータからは、過去55年(1958ー2013年)の間にヒンドスタン平原周辺で広く南東風偏差が強まっているが、降水量には統計的に有意な長期変動傾向は検出されなかった。 また、インド北東部のアッサム州内の地点降水量データとグリッドデータセットを比較し、特に州北部のヒマラヤ南麓において、日降水量階級が大きく、頻度の低い事例(90パーセンタイル以上)において、グリッドデータセットが過小評価になる傾向にあることを指摘した(福島 2019)。 ネパールの降水量データを用いたプレモンスーン季の降水システムと亜熱帯ジェット気流の関係についての解析から、ヒマラヤ南麓では、亜熱帯ジェット気流が影響を及ぼすプレモンスーン季前半と、その影響が弱まる後半とで降雨の要因が異なっており、プレモンスーン季後半の連続的な降雨がモンスーンの開始に及ぼす影響が示唆された。この結果については現在投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集と解析用サーバの設置が遅れているが、これは別の研究プロジェクトでの進行遅延が影響し、海外出張を計画することが難しかったため。次年度早急に準備を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
解析用サーバの設置を礼和元年に完了し、GPS観測値のアーカイブを進める。また、ネパールとブータンの観測データ購入についても令和元年中に交渉を進め、年度内あるいは翌年度までにデータの入手を完了する。 上記を除いては、成果発表等を計画通り推進できる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集のための海外出張およびデータサーバ準備が前年度に完了しなかったため、次年度に繰り越して進める予定である。
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