研究課題/領域番号 |
18K12578
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
組坂 健人 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40801577)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 珪藻分析 / 法科学 |
研究実績の概要 |
茨城県北浦周辺で現地調査を行い,湖岸域の土砂試料4点を採取し,珪藻分析を実施した.珪藻分析では,出現した珪藻殻を光学顕微鏡(倍率100倍)および走査型電子顕微鏡を用いて同定し,1試料あたり約300殻を計数した.計数に際しては,出現した種毎に完形の殻と破片の殻(60%以上)を分け,総殻数が300殻となるまでとした.また,湖岸域と湖底での珪藻殻の現地性程度を比較するために,2014年に採取された湖底堆積物について珪藻分析を行った.なお,分析に用いた湖底堆積物試料は,6地点で異なる時期(6月及び9月)に採取された計12試料とした. 湖岸域において,Navicula属,Nitzschia属,Achnanthes属,Sellaphora属,Diploneis属が多産した.そのうち,Sellaphora属およびDiploneis属について,一部の土砂試料において約40%の出現頻度を示した.また,Navicula属においては破片化率が約15%を示し,Sellaphora属およびDiploneis属ではそれぞれ約20 %および約5 %を示し,破片化率に差異が認められた.さらに,Achnanthes属の上下殻共存率においては,高い現地性を示す試料(0.9~0.8)と中程度を示す試料(0.68)が認められた.これにより,これらの指標が法科学における土砂の検査に有用である可能性が示唆された. 湖岸域と湖底の珪藻分析の結果について,Achnanthes属の上下殻共存率を比較したところ,流入河川である巴川付近の湖底堆積物では0.77および0.81を示し,流入部から離れた湖岸においては0.33を示し,分布が巴川付近に存在し,湖岸に運搬されたことが示唆された.また,Nitzschia属の破片化率は,湖岸に比べて湖底で低い値を示し,破片化の進行により湖底に残存しにくかったことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試料前処理装置であるオスミウムコーターの導入が年度末となったため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,土壌試料の採取および分析を実施する.また,結果の取りまとめおよび論文の執筆を開始する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度導入した備品であるオスミウムコーターの価格が,見積もり時の価格より低価格であったため当該助成金が生じた.翌年度にはオスミウムコーターの消耗品であるオスミウムアンプルや試薬等の消耗品費に充てる予定である.
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