研究課題/領域番号 |
18K12578
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
組坂 健人 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40801577)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 珪藻分析 / 現地性・異地性 |
研究実績の概要 |
2014年8月から9月に採取された柱状試料の表層堆積物計22点を研究に用いた。作成したプレパラートを、光学顕微鏡(倍率1000倍)で観察し、各試料につき300殻の珪藻殻を同定・計数し、各分類群の出現頻度、破片化率、両殻共存率を算出した。また、Cocconeis属を対象として各試料の両殻共存率の比較を行うために、50殻を別途計数した。 珪藻分析の結果、流入河川付近で付着性種が増加し、その他の地点では浮遊性種が多産した。クラスター分析の結果、北浦北部に位置する巴川河口の試料で付着性種の出現頻度が高いことに起因する1つのクラスターの形成を示した。流入河川河口周辺の試料は先行研究により、堆積物の粒径が比較的粗く、河川から北浦への堆積物供給が示唆されている。 北浦の湖底表層堆積物において、Aulacoseira属が最も出現頻度の高かった。この破片化率は20 %以下の範囲で変化し、河口付近で増加した。Aul. granulateの破片化は水深および湖岸からの距離に弱い負の相関を示した。これは、湖岸部では湖流の循環による運搬で破片化が促進されたと考えた。また、Aul. ambiguaは水深の深い地点の一部においても破片化率の増加を示した。 加えて、付着性種は流入河川付近の試料で増加したことから、河川の影響と珪藻殻の運搬過程を評価する上で重要であると考え、Cocconeis属およびPlanothidium属の両殻共存率に着目した結果、前者は流入河川から離れるに従い増加しその後減少に転じ、後者は流入河川付近で最大を示しその後減少に転じた。これは、両種の付着様式の差異や生息分布によるためだと考えた。 また、Cocconeis属の破片化率と湖岸からの距離に弱い正の相関が示された。このことから、運搬距離の増加により破片化が促進されると考えた。一方、両殻共存率は破片化ほどの相関が認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は現地調査を実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
結果の解釈を拡充させるための現地調査を実施する。また、研究論文の作成に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大を受け、令和2年度の現地調査が滞ったことによる支出がなく、研究期間を1年延長したため。 次年度の予算は研究に必要な試薬・消耗品の購入や論文投稿料等に充てる予定である。
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