本研究では,珪藻の現地性程度を利用した土壌などの法地質学的資料の検査法の開発を目的として,茨城県北浦をモデル地域として研究を行った.湖底表層堆積物中の珪藻殻の破片化率および両殻共存率を明らかにし,珪藻核の運搬・堆積過程を考察した.湖岸の植生帯に付着して生息するCocconeis placentulaは生息場から離れるほど破片化率が増加し,両殻共存率が低くなることから,湖心部では異地性の遺骸が堆積していると考えられた.また,両殻共存率の変動は破片化率より大きく,より局所的な珪藻殻の流入を示唆した.
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