本研究の目的は、福岡市と筑豊地域を対象に介護福祉士比率に地域差があることとそれを生みだす要因を、介護福祉士の就業特性に着目しながら、両地域の特別養護老人ホーム(以下、特養)管理者へのインタビューとそこで働く介護福祉士へのインタビューやアンケートを通して解明することにある。福岡市の介護福祉士の就業特性は婚姻関係・居住形態等の個人属性に加え、事業所規模や経営方針、養成学校の立地特性等、複数の要素が関連して生じていた。また、筑豊地域では完全失業率が高い等労働市場が劣悪であるにもかかわらず、既婚男性やシングルマザーがその地域の介護サービス産業の中心的な担い手になっていた。
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