本研究課題では、日本国内の鉱工業都市へ労働力として移入し定着してきた国民国家の周縁地域からの都市移住者を対象に、脱工業化社会においていかに彼らが都市マイノリティ層としての同郷者コミュニティや人的ネットワークの機能変容を経験してきたのか、文化・社会地理学的な視点での分析を行なった。具体的には日本「本土」の鉱工業都市で生活する沖縄・奄美出身者によって組織された同郷団体の諸実践を対象として、参与観察や聞き取り調査といった質的調査のほか、同郷団体刊行物や同郷者メディア等の資料を分析して各同郷団体の機能変容や表出されるアイデンティフィケーションの動態を明らかにした。
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