本年度も感染症対策のため、予定していたインタビュー調査の一部は実施できなかった。その代替策として、2021年秋に高知県高知市の高齢者文化活動団体と連携しアンケート調査を実施した。調査内容は生活の質の観点から文化活動(生涯学習)や移動に関する満足度、生きがいに関するものであった。2021年末までに594人分のデータを収集し、2022年1月よりデータ入力と点検を行い完了した。また、2022年3月のまん延防止措置の解除後には、徳島県上勝町において地域団体及び地域住民の協力を得て、交通条件や買物条件の優れていない奥地集落を中心に、60歳以上を含む世帯(有効回答27世帯)に対するインタビュー調査を実施した。調査内容は、主に買物アクセス不利地域における食料調達を通じた食生活や移動に関する満足度や生きがいに関するものでった。調査結果は年度内に電子データ化した。これらにより、高齢者の日常生活の形成とその質(生きがいを含む)に関して、モビリティ評価や受容との関連から捉えるために必要なデータを揃えることができた。 以上の結果、今年度までに大都市圏郊外の都市地域から地方圏農山村地域(兵庫県宝塚市、愛知県西尾市、高知県高知市、徳島県上勝町、高知県仁淀川町)におけるモビリティと日常活動における満足度の関係に関する基礎的なデータを集めることができた。しかしながら、これらのデータの考察結果をもとにした学会発表や論文等の公開には至らなかった。
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