本研究では、高齢期のQOL構築への関心から、高齢者の日常生活空間の形成について、加齢によるモビリティ変化、近隣環境、個人の生き方や価値観や感情の作用などから検討した。研究対象地域には、大都市圏郊外の都市化の進んだ兵庫県宝塚市、大都市圏郊外で農村的性格を有する愛知県西尾市、地方圏の地域中心都市である高知県高知市、地方圏の周辺山村である高知県仁淀川町、徳島県上勝町を設定した。研究の結果、高齢者は、加齢に伴う日常生活圏とモビリティの縮小を受け入れたり、それに対して妥協したりしつつも、日常生活における生きがいや満足度を高めるための工夫を実践してきたことが明らかとなった。
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