本研究のおもな成果は以下2点である。1)2000年代後半エチオピアは経済成長を遂げたが、農村部では国内外の資本による土地収奪が急速に進み、そこに見られる異なる民族帰属をもつ人々の関係性も緊張化していた。このような社会状況で、当地で定期的に実施されている宗教儀礼が、コミュニティの成員同士のみならず、民族的他者同士のコミュニケーションの経路となっていることが明らかとなった。2)オロミア州東ショア地区で盛んにみられる、イスラームに由来するハドラ集会には多くのキリスト教徒が参加している。その儀礼参加者が実践する地域的な参詣儀礼で人々が経験するランドスケープの聖性、及びその構築性を明らかにした。
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