トルコの遊牧民とされて来たユルックを、厳密な意味での遊動人口としてのみ捉えるのではなく、遊動ー半遊動ー移牧ー半移牧ー定住の連続のなかで捉え直すことにより、彼らが都市や村落の一角に根を下ろしてもなおユルックとして生きようとする現代的状況を明らかにすることができた。 特に、都市在住のユルックたちを中心に国内各地で結成される遊牧民文化協会の連帯的活動展開が、トルコ全体のオスマン帝国懐古の風潮とも共鳴しながら、ユルックの存在が「誇るべきトルコの伝統」として広く一般市民にも波及している状況については、調査分析が予想以上に進み、各種学会・論文・書籍の形で成果を公表するに至った。
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