精神的な病理や生きづらさと、労働や組織の問題、自然環境の問題は別々の問題ではなく一連なりの問題であり、本研究ではチーズ生産を軸とする共同体の事例からこれらを同時に捉える視座を提示し、論文や書籍、シンポジウム報告のようなかたちで発表した。これは、人間を起点に置き、そこから物事を解釈したり、プロジェクトを行なうという「近代」の前提を学術的に問い直すとともに、その前提で作られている社会での標準的な生き方とは異なる生き方の可能性を提示することで、「自己決定」や「自己選択」とは別の論理にもとづく社会の可能性についての議論を開いた。
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