• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

信念と危機的経験の相互生成に関する人類学的研究:ヌエル難民の予言信仰を事例に

研究課題

研究課題/領域番号 18K12601
研究機関立教大学

研究代表者

橋本 栄莉  立教大学, 文学部, 准教授 (00774770)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード難民 / 紛争・平和構築 / 宗教的観念・実践 / 南スーダン
研究実績の概要

本研究の目的の一つは、2013年末の南スーダン内戦以降、国外に逃れた南スーダン難民の紛争経験と西ナイルの神性とのかかわりを明らかにすることであった。
最終年度は、これまでの調査研究の成果をまとめ、ウガンダに暮らす南スーダン難民を対象とした民族誌を執筆した。民族誌は、人々の難民としての暮らしや避難地域の社会関係や文化実践を総合的に描いたものである。本研究の目的と関わる部分として、難民経験と西ナイル系集団に伝わる起源神話とのかかわりが一つの章の中で描かれている。当該の章では、西ナイルの民族誌的資料から抽出した起源神話と、それが難民としての暮らしのなかで再発見・再構築され、人々のナショナル・アイデンティティまたはエスニック・アイデンティティの形成とどのように関わっているのかを明らかにした。
研究期間全体を通して、南スーダンやウガンダの難民コミュニティでの現地調査で得た資料と、西ナイル系集団および南部スーダンの歴史・民族誌的資料を総合的に分析し、その成果を国内外の学会で発表し、研究論文や民族誌としてまとめることができた。本研究の意義は、「強制移動」や「難民」という現象を、現代社会の「問題」の一つとして捉えるのではなく、長い遊牧と避難の歴史を経験してきた人々のなかで問題化されるやり方に応じてとらえ直したことにある。これによって、既存の難民や強制移動を問題化してきた先進国側が抱える視点が内包する矛盾や論点を炙り出し、「難民の世紀」における新たな秩序をめぐる想定の可能性について論じることができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 予言者は紛争を終わらせることができるか?―― 南スーダンの旅する予言2023

    • 著者名/発表者名
      橋本栄莉
    • 雑誌名

      季刊民族学

      巻: 186 ページ: 80-87

  • [図書] 歴史が生みだす紛争、紛争が生みだす歴史―現代アフリカにおける暴力と和解2024

    • 著者名/発表者名
      佐川徹, 竹沢尚一郎, 松本尚之(編)
    • 総ページ数
      292
    • 出版者
      春風社
    • ISBN
      9784861109539

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi