研究課題/領域番号 |
18K12602
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
瓜田 理子 皇學館大学, 現代日本社会学部, 准教授 (20812712)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 神楽秘曲 / 大礼 / 神宮式年遷宮 / レジリエンス / 登極令 / 古今和歌集 |
研究実績の概要 |
本年度(2020)は、(1) 近代の神宮式年遷宮の関係資料及び室町後期から近世の文献調査、(2)日本語と英語による研究成果発表の2点を中心に行った。(1)については、最終年度の目標である、社会生態学的レジリエンス理論を適用し音楽文化の継承をとらえるためのデータにした。具体的には、宮内公文書館蔵『神宮神嘗祭御神楽録』一から三の資料と天理図書館綾小路家旧蔵楽書の『伝来神楽流』や『信俊卿記』など室町後期から近世の資料16点を調査した。採択された研究課題は近代を中心とするが、近代の神楽秘曲の存続に重要な役割を果たした綾小路家が室町後期に中絶し近世に家が再興するまでの歌の継承の流れを検証するために近代以前の資料調査が急務となった。結果、継承者についての先行研究の一部の誤りを明らかにできた。 (2)については、令和二年日本歌謡学会発行の『日本歌謡研究』第60号に「近代大礼における神楽秘曲―賀茂百樹『通俗講義登極令大要』と多田好問『登極令義解』を通して―」が掲載された。令和二年度日本歌謡学会秋季研究発表会においては「宮廷儀礼のうたの制定―明治維新以後の神楽大曲・秘曲と『古今和歌集』巻二十大歌所御歌―」と題する研究発表を行った。また令和元年に執り行われた大礼の最新情報とその写真を含む研究成果の一部が、Duke University Press出版の英語の学際的学術誌Common Knowledge 27巻1号(令和3年1月発行)にThe Xenophilia of a Japanese Ethnomusicologistというタイトルで掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究成果の一部を学会と日本語と英語の学術誌に論文の掲載という形で発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は最終年度なのでこれまでの蓄積データの整理をする。フランスのコンピュータサイエンスの研究者からレジリエンスと神道祭祀及び神楽の関係について問い合わせもあり、音楽文化を超えて関心が広がるような研究成果を発表したい。招聘を受けているカナダの国際シンポジウムは2020年から2021年の11月に延期されたので、最新データを反映させた論文発表ができるように準備をしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外で開催される国際学会や国際シンポジウムへの出席を予定していたが、コロナ禍で延期になったため次年度使用額が生じた。次年度には延期されなければ、国際シンポジウムに出席し、研究発表を行う予定である。
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