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2021 年度 実施状況報告書

大礼と神宮式年遷宮からみる神楽秘曲の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K12602
研究機関皇學館大学

研究代表者

瓜田 理子  皇學館大学, 現代日本社会学部, 准教授 (20812712)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード宮廷儀礼 / 神楽大曲 / 神楽秘曲 / 古今和歌集巻二十 / レジリエンス
研究実績の概要

本年度(2021)は、1本の論文発表に留まったが、意義として、明治期の宮廷歌謡の継承の方策に関し、当該研究課題の目標であった社会生態学的レジリエンス理論を適用し、その淵源と特徴を明らかにできた。
令和3年日本歌謡学会発行の『日本歌謡研究』第61号に、「宮廷儀礼のうたの制定ー明治維新以後の神楽大曲・神楽秘曲と『古今和歌集』巻二十大歌所御歌ー」が掲載された。当該論文は、明治政府による神楽秘曲と神楽歌の譜の撰定という近代化は、宮廷儀礼の神楽継承を支える方略であったこと、『古今和歌集』巻二十の「神あそびの歌」が後世に活用される規範性を有し、継承を支える方策であったことから、宮廷儀礼の歌謡を継承する方策の淵源と見られることを論じた。主に参照したのは、明治維新以後の宮廷儀礼における神楽大曲と神楽秘曲の継承が記録されている、宮内庁書陵部蔵『御神楽録 自明治三年ー至大正八年』と『楽曲撰定録 自明治三年ー至大正四年』である。明治9年と21年に編集された雅楽譜(明治撰定譜)の神楽歌の曲目を確認し、宮内省楽部の神楽歌の撰定と宮中から伊勢神宮に導入された神楽歌の撰定を比較検討し、明治22年の神宮式年遷宮から令和元年の大礼に至るまで、神楽秘曲が奏楽された儀礼と神楽秘曲の奏楽者名のリストを掲載し、昭和4年の神宮式年遷宮が非曲全ての奏楽者が堂上公家から宮内省楽部に完全移行したことも明らかにできた。
宮廷におけるうたの制定は、予期せぬ撹乱に直面しつつも必要な変化や適応をして古態と本義を守り抜き存続するための宮中神楽の継承の方策であり、神楽歌と神楽秘曲のレジリエンスの高さを示している。宮廷歌謡の歴史や変遷についての先行研究の中でも、当該論文は社会生態学的レジリエンス理論を宮廷歌謡に適用した最初の論考である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は最終年度に海外で研究成果を発表予定であった。本年度は、3月にカナダの国際シンポジウムに招聘されて、近代の大礼における神楽秘曲の継承について研究成果を発表する予定であったが、主催地のコロナ感染拡大のため延期となった。またカナダでの発表準備のため、神宮式年遷宮と神楽秘曲についての社会生態学的レジリエンス理論の適用がまだ十分にできていない。

今後の研究の推進方策

令和4年まで事業期間延長となったので、これまでの蓄積データを整理し、大礼のみならず、神宮式年遷宮と神楽秘曲についても社会生態学的レジリエンス理論を適用する。カナダをはじめ、海外で発表できる機会をとらえて研究成果を発表し、海外の研究者との学術交流にも努める。

次年度使用額が生じた理由

2021年度に予定されていたカナダのシンポジウムが主催国のコロナ感染拡大のため延期されたため。2022年度に海外で発表できる機会をとらえて使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 宮廷儀礼のうたの制定ー明治維新以後の神楽大曲・神楽秘曲と『古今和歌集』巻二十大歌所御歌ー2021

    • 著者名/発表者名
      瓜田理子
    • 雑誌名

      日本歌謡研究

      巻: 61 ページ: 137-152

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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