研究実績の概要 |
最終年度(2023)は、コロナ禍で十分できなかった、国際学会で研究成果を発表するために延長した年であり、ルーマニアのThe Bucharest University of Economic Studies (ASE)において開催された、第10回Japan: Pre-modern, Modern and Contemporary国際学会にて、“A Song of Continuity: Kagura Secret Song and Jingu Shikinen Sengu on the Eve of the Modern Period”(明治期の神宮式年遷宮の神楽秘曲について)という題で、英語による研究発表を行なった。内容は、近代の激動期における神宮式年遷宮からみる神楽秘曲のレジリエンスである。明治22年神宮式年遷宮に宮中より新規に導入された御神楽と神楽秘曲が、古儀復興・神宮故実の一貫性に位置付けられ存続したことを御巫清直の御神楽御饌祝詞の神話と古語の分析を行い、明らかにした。研究発表に加えて、同学会の開催中に、Sounds of Shinto Rituals: The Vicennial Renewal of the Ise Grand Shrine during the Meiji Era (神道儀礼の響きー明治期の神宮式年遷宮ー)という題でレクチャー並びに研究協力者の神職による、御神楽御饌祝詞の奏上と御神楽の人長舞を行なった。この模様はJurnal Cultural (ルーマニアテレビ文化局)に放送された。発表原稿は、神楽秘曲の微音の考察と、激動期の神宮に勤仕した孫福弘孚の神事日記『櫟陰記』の分析を加えて論文にし、ASEの学術誌 Synergy (1/2024)に掲載される。(最終年度の時点で入稿済、2024年5月時点で査読も完了。同学術誌は7月に発行予定である。)
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