研究課題
本研究は、グローバル市場への包摂が急速にすすむ南アジア系社会おいて、仏教やヒンドゥー教、イスラム教など、宗教や民族、及びカーストに強く規定され ると見なされがちであった食肉をめぐる価値規範を比較民族誌論的に再考するものである。本研究を基研究として「国際共同研究加速基金(国際共同研究強化 A)」に採択され、2021年9月から2022年3月にかけてオックスフォード大学人類学博物館民族誌学部で研究を実施した。本研究は大きく3点の目的を持つ。第一に食肉のグローバル市場への取り込みが進む中で、カーストやエスニシティ、宗教コミュニティなど従来食肉を主に儀礼において扱ってきた組織はどのような変貌を遂げるか、第二にこれまでネパールやインドにおけるフィールドワークを通して蓄積した民族誌的記録と、大英図書館やオックスフォード大に所蔵されている歴史的文書を接合し、理論的視座を確立すること、第三にイギリスにおけるネパール人移民コミュニティにおける 食文化の外観を掴む調査に着手することである。期間中の成果として、主に第一の目的に関連して、国際査読付き学術雑誌にStudies in Nepali History and Societyに単著論文”Improve the Work of Our Jati to Uplift the community: The Reorganization of a Traditional Caste-based Practice"を投稿し、これが2024年6月号に掲載予定である。また、第二の目的に関して、査読付き学術誌『文化人類学』に論文「我々はなぜ切らねばならないのか:ネパールの肉売りカースト「カドギ」による屠畜の再構築」が掲載された。
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Studies in Nepali History and Society
巻: in print ページ: in print
文化人類学
巻: 88 ページ: 56-75
10.14890/jjcanth.88.1_056