本研究では、アフリカ熱帯雨林地域の狩猟採集民の生態学的領域での行動が決定される過程を、生態、社会、行動の関係で説明するための人類学的な解釈モデルを構築した。具体的には(1)バカ・ピグミーたち個人に対する移動・移住史の聞き取りに基づく社会関係の調査と(2)キー・インフォマントに対して環境知覚に関する追跡調査を行った。その結果、個々人には生活領域内の自然環境に対する利用の経験と範囲の差で生じた知識の差は、集団で活動することによって個々の知識と認識が多様な形で共有され、一定範囲内で共通する知識・認識になることが可能になるという結果が得られた。
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