研究課題/領域番号 |
18K12619
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
粟辻 悠 関西大学, 法学部, 准教授 (50710597)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 古代レトリック / 模擬弁論 / ローマ法 / 衡平 |
研究実績の概要 |
当該年度は、伝クインティリアヌス『小模擬弁論集』を主たる対象史料として、そこに現れた帝政期レトリックによる議論の構造に関わる特徴を析出する作業を行った。 具体的には、模擬弁論史料における「法ius」や「衡平aequitas」といった重要な文言が登場する場面をピックアップし、それらの文言それ自体やそれを含む文脈全体が当該模擬弁論史料の中でいかなる役割を果たしていたのかという分析を、当該史料の著者が模擬弁論の構成について解説した部分である「講話sermo」の記述を参照しつつ、具体的に進めていった。 なお、以上の点については、関連する内容の学術報告を当該年度の日本ローマ法学会(2019年3月)において行い(報告表題:「模擬弁論における訓練の特徴について」)、法制史や古代史等の関連する分野の研究者と意見交換を行った。 また、準備的作業として行っていた、模擬弁論において弁護が登場する場面にかかるいくつかの分析は、当該年度中にある程度のまとまりを持たせることができたため、それを単独で論文の形として公表するに至った(論文表題:「模擬弁論に登場する弁護-伝クインティリアヌス『小模擬弁論集』を題材に」)。 外面的に何らかの形で成果として表すことができた以上の諸点に加えて、次年度以降の研究の展開に向けた準備として、上記以外の史料(近い時代に属する大セネカ(ラテン語圏)や、帝政後期におけるギリシアのソパトロス(ギリシア語圏)によるもの等)の分析も並行して進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
準備的作業の成果を論文の形で発表することができた点など、予想よりも順調に進んでいる部分もあるが、具体的な史料の分析等にかかる研究の本筋としては、おおむね予定通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の予定通りに進行するが、すでに研究会での報告を経た内容については、可能な限り論文の形で公表し、より広い範囲からの批判を受けることにより、以後の研究に資するものとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、当該年度中に海外の学会に出席する予定であったが、校務等のスケジュールの都合によって果たせず、概ねそれに相当する額が繰り越されることとなった。 今年度において、海外における学会報告の予定を増加させて対応するが、それが現実のスケジュールとの兼ね合いで不可能となった場合、とりわけ海外からの資料の入手に用いるものとする。
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