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2022 年度 実施状況報告書

帝政期ローマの法廷実践における模擬弁論教育の意義

研究課題

研究課題/領域番号 18K12619
研究機関関西大学

研究代表者

粟辻 悠  関西大学, 法学部, 准教授 (50710597)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード模擬弁論 / 古代レトリック / ローマ法
研究実績の概要

昨年度末に公表した論文の内容を基盤として、複数の方向に研究を発展させることができた。
第一に、当該論文では大セネカによる模擬弁論著作を主として取り扱ったところ、本年度はその検討対象を他の模擬弁論史料(擬クインティリアヌス、カルプルニウス・フラックス、また帝政後期のギリシア語による複数の史料)にも広げ、より総合的な成果を発表する土台を形成した。具体的には、類型的な登場人物を模擬弁論において戦術的に活用するという営み(当該論文の主要な分析対象であった)がいずれの模擬弁論史料においても共通していることが明確となり、当該論文の分析がより広い妥当性を有していることが確認された。ただしとりわけラテン語史料とギリシア語史料との間には、類型的な人物の像に違いが存在するように思われる点も見受けられ、そこについてはさらなる詳細な分析が必要である。
第二に、当該論文では課題として積み残していた法学文献史料との比較及びその分析について、基礎的な研究を開始した。本年度はまず、特にレトリックとの関係が深い問題である、法学における言葉の用法に関係する法学文献史料の分析を進めた。その中心的な存在である学説彙纂第50巻第16章(章題:「言葉の意義についてde verborum significatione」)は、近代以降のローマ法学においては注目度が低く、日本でも全訳すら存在していなかったが、本研究の成果として「ローマ法雑誌」上にまず全訳を公表し(2023年3月)、引き続き関係する分析を論文の形でまとめる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究内容としては、先に発表した成果に順調に接続できており、進捗状況は良好である。
ただし、学会等における研究発表や相互の意見交換という点については、なお正常化が完了していない部分もあるため、2023年度に持ち越された課題もある。

今後の研究の推進方策

学会をめぐる状況がより一層正常化していくという見通しの中で、2022年度には十分に行うことができなかった学会等における研究報告や相互の意見交換を中心として、研究内容を深化させていく予定である。2023年度を総仕上げの年度として、最終的には先に挙げた方向での研究成果を複数発表することを指針とする。

次年度使用額が生じた理由

学会等の状況がなお正常化しておらず、旅費がほとんど計上されなかったため。
2023年度はより一層の正常化が見込まれるため、当初の計画に沿った使用が可能であると考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] <史資料邦訳>学説彙纂第50巻第16章邦訳2023

    • 著者名/発表者名
      粟辻悠
    • 雑誌名

      ローマ法雑誌

      巻: 4 ページ: 1-99

    • DOI

      10.14989/ARK4_1

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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