本研究は、国家賠償責任における減責制度の運用方法を模索するものである。日本法においては、しばしば民事責任法と同様の減責法理が用いられるているようにうかがわれる。しかしながら、責任制度が異なる以上、国家賠償法独自の視点から減責の問題を取り扱う必要がある。この点、フランス法においては民事責任におけるそれとやや異なった減責制度の運用がなされており、それは、制裁機能が依然として有用でありうる行政責任の特性との関係で理解することも可能である。日本法においても、国家賠償責任の目的や機能に鑑みた、減責制度の運用が模索されるべきであろう。
|