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2019 年度 実績報告書

ソフトな税務調査の法的統制

研究課題

研究課題/領域番号 18K12629
研究機関九州大学

研究代表者

田中 晶国  九州大学, 法学研究院, 准教授 (50782950)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード純粋な任意調査 / 質問検査権 / 行政調査 / 税務調査 / 行政指導 / プライバシー
研究実績の概要

本年度は研究期間の最終年度である。本研究では、これまでの租税法学が区分してきた「純粋な任意調査」及び間接強制による任意調査である質問検査権の行使という大きな区分についての限界を意識し、租税法体系の中における、行政調査としての広義の意義における「税務調査」概念を措定し、現実に行われている多様なソフトな税務調査について、いかなる法的統制を及ぼしてくかについての研究を行った。
1.税務官庁による何らかの処分に至る流れとしては、Ⅰ税務情報収集(納税者による確定申告、各種の法定調書、匿名通報など)→Ⅱ税務当局による各種情報の分析(調査対象者の選定)→Ⅲ税務当局による税務調査(質問検査権)の実施という各フェイズを経るが、そのいずれのフェイズにおいても「純粋な任意調査」概念に包摂しえない調査が行われていることを確認した。
2.「純粋な任意調査」概念に包摂されない「秘匿型・密行型の任意調査」を抽出して、一般的税務調査権限を措定した上で、その法的統制についての問題点を検討した。情報収集活動自体の統制とともに、プライバシー情報が、税務官庁に集積されていくことで生じ得る基本的人権の制約という視点が今後の税務行政活動において重要であることを確認した。
3.上記で示した調査対象者の選定段階で行われる「純粋な任意調査」だけでなく、質問検査権の行使の際に行われる、対象者の同意を得た上での立入り・捜索などについて、質問検査権の行使の一環として行うことは租税法律主義の観点から問題があることを確認した。予測可能性についての制度的担保が進展する現状において、租税法律主義の自由主義的側面ではなく、その民主主義的側面に目を向ける必要がある。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 推計課税における主張と立証 ―立証軽減の観点から―2020

    • 著者名/発表者名
      田中晶国
    • 雑誌名

      税大ジャーナル

      巻: 31 ページ: ‐

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 必要経費と家事費・家事関連費2020

    • 著者名/発表者名
      田中晶国
    • 雑誌名

      税研

      巻: 35 ページ: 49-55

  • [雑誌論文] 所得税法における要件事実 : 収入金額および必要経費の主張・立証とその推認構造2019

    • 著者名/発表者名
      田中晶国
    • 雑誌名

      法政研究

      巻: 86 ページ: 77-101

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 判例研究 係争中の分限免職処分に関する退職手当の帰属時期が争われた事例[東京地裁平成29.1.13判決]2019

    • 著者名/発表者名
      田中晶国
    • 雑誌名

      税法学

      巻: 581 ページ: 249-265

    • 査読あり
  • [学会発表] 任意調査の法的統制2020

    • 著者名/発表者名
      田中晶国
    • 学会等名
      日本税法学会九州支部
  • [学会発表] 推計課税における主張と立証 ―立証軽減の観点から―2019

    • 著者名/発表者名
      田中晶国
    • 学会等名
      税務研究会
    • 招待講演
  • [図書] 租税法(第2版)2020

    • 著者名/発表者名
      岡村忠生・酒井貴子・田中晶国
    • 総ページ数
      323
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      978-4641221529

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公開日: 2021-01-27  

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