租税法学は、財産権の制約という観点を重点的に議論の俎上に載せてきた。しかしながら、税務情報の取得・収集活動が、個人のプライバシー権の制約となり得る活動であることを再度認識すべきである。情報処理技術・ビッグデータの活用などから個人情報を国家が把握することの危惧は高まっている。実力行使を伴う税務調査が許容されないことはいうまでもないが、現代社会のテクノロジーを前提とすると、SNSやインターネット上に公開されている情報などを、国家権力が収集することによる人権制約にも留意する必要がある。そのような税務官庁の活動を適切に統制するためには、「行政調査」の枠組みにおいて法的統制を構築していく必要がある。
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