研究課題/領域番号 |
18K12634
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
長戸 貴之 学習院大学, 法学部, 准教授 (90632240)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 租税法と私法 / 機能的分析 / 倒産法 / 会社法 / 知的財産法 / 企業支配権移転取引 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,租税法と諸私法の関係性について機能的に分析することを目的としている。本研究課題遂行の2年目にあたる2019年度の研究実績としては以下の3点を挙げることができる。 第1に,国際的に本研究についてアウトプットをする機会を得ることができた。具体的には,1つ目として,租税法と会社法・倒産法の関係について分析した論文をもとに,スタンフォード大学ロースクールが主宰する国際的な若手研究者向けの研究フォーラムの選考を通過し,報告する機会を得ることができた。2つ目として,租税法と知的財産権との関係について国際的側面まで踏まえた検討を深める研究に着手し,2019年夏から在外研究で滞在したニューヨーク大学ロースクールのグローバルフェローズプログラムで開催された研究フォーラムで報告する機会を得た。いずれの研究フォーラムにおいても,アメリカをはじめとする諸外国の著名な研究者にコメンテーターを務めていただいたり,フィードバックを受けたりすることができたおかげで,とても有益な示唆を得ることができた。 第2に,租税法と私法の関係のうち,新たに租税法と企業支配権移転取引との関係性について分析し,立法論を展開する論文を着想するに至った。同論文については,基礎的な文献の調査が完了し,論文としての議論の展開・方向性を定めることができた。同論文については,2020年度中に公表予定である。 第3に,「租税法と私法」論に関する重要な最高裁判決について,判決後に起きた事柄をアップデートする形で判例解説を執筆する機会を得た。 2019年度は,公表物の数こそ少なかったが,在外研究中であることを活かして,学会や研究会を通じて海外の研究者と交流し,本研究の重要性を再確認できたことが最大の収穫である。具体的な研究成果は2020年度に論文として公表したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度から執筆し,2019年度に公表するに至った租税法と倒産法・会社法との関係性について考察した論文が,国際学会の選考を通過し,報告機会を与えられた。 国際租税法と知的財産権との関係性について考察する研究をテーマに報告機会を得ることで,論文の方向性を確認し,論点を整理することができた。 本研究課題の各論テーマとして,新たに租税法と企業支配権移転取引との関係性について考察する論文を着想することができ,具体的な論文としても公表する見通しを立てることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の各論テーマとして,国際租税法と知的財産法の関係性に関する論文,租税法と企業支配権移転取引に関する論文,租税法とイノベーションに関する論文を執筆し,公表にこぎつけたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続き,在外研究先の研究環境(研究備品,図書館,電子書籍・電子ジャーナルのデータベース)が想定外に充実していたため,物品の購入が少なかった。 旅費に関しては,新型コロナウィルスの蔓延のため,年度末に参加を予定していた学会が中止となってしまい,次年度使用額が生じた。 2020年度は,日本に帰国し,研究環境を整備する必要があるため,物品費への支出が増える予定である。
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