研究課題/領域番号 |
18K12637
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高田 倫子 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80721042)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 権力分立 / 司法的法形成 / 行政権の裁判的統制 |
研究実績の概要 |
本研究は、立法による事前の基準定立が困難になり、重要な決定が法執行レヴェルへ移行している現状を踏まえ、行政と司法に法形成作用を認めると同時に、両者の関係を明らかにすることを目的としている。行政に関しては、主として行政裁量によってその形成作用が認められてきたが、司法による法形成については、公法学において正面から論じられてこなかった。そこで、本研究は、司法的法形成の特徴・意義を明らかにし、行政の裁判的統制のあり方を再考することを課題としている。本年度は、後期からドイツでの在外研究の機会を得られたため、ドイツ公法学における司法的法形成の捉え方の解明に研究の重点を置いた。具体的な研究実績は、以下のとおりである。 第1に、留学先の受入れ教授であるクリスティアン・ブムケ教授の助言の下、近年刊行された先例拘束性に関する教授資格論文、および、法律の留保の観点から行政と司法の法形成について考察した博士論文などを読み進めた。その結果、ドイツにおいて司法的法形成は特に民主的正統性の不足を理由として批判される傾向にあったが、近年ではそれを理論的にも実務的にも不可欠な作用として肯定し、その法的効果に関する研究が現れていることが明らかになった。 第2に、それと並行して、2018年10月に出された行政の裁判的統制に関する連邦憲法裁判所の判決についても調査を行った。2019年3月にコンスタンツで行われたシンポジウムで、同判決に関する報告を聞き、理解を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行政裁判における司法的法形成については先行研究に乏しいが、留学先の受入れ教授であるブムケ教授がこの分野の研究の第一人者であるため、その適切な助言を得ておおむね順調に研究を遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究の視角を明確化し、より具体的な課題に取組む。その際、司法的法形成のあり方が民事・刑事裁判と行政裁判との間で異なる点に着目し、研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツで在外研究を行うことになったため、当初予定していたドイツへの国外旅費が不要となり、次年度使用額が発生した。次年度は、その分をドイツで購入した図書の運搬費、および、帰国後に成果発表などを行う際の国内旅費に充てる予定である。
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