研究課題/領域番号 |
18K12640
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤岡 祐治 東北大学, 法学研究科, 准教授 (40632237)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 租税法 / 通貨 / 貨幣 / 金銭 / 現金 / 匿名性 / 流動性 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,情報通信技術の発達が,貨幣,主権国家及び金融機関といった既存の制度を前提としない取引,決済及び支払手段を生み出していることを踏まえ,これらが租税行政に必要な情報取得にもたらす課題を明らかにすることを目的とするものである。その際に,本研究課題は,通貨の匿名性という分析視座を採用する。 昨年度は,通貨の匿名性が課税にどのような影響を与えるかについて,特に租税行政に与える影響を中心に基礎的な検討を行った。これに引き続き,本年度は昨年度に扱うことがことができなかった,所得課税との関係について分析を行った。具体的には,現金を保有することに伴う帰属所得に対する所得課税を理論的観点から考察した。特に,現金の流動性と匿名性という2つの特質に着目し,現行の所得課税と理論的に考えられる制度との差異を明らかにした。 さらに,本年度は,通貨の匿名性が課税に及ぼす影響は所得課税に限られないことから,消費税との関係についても検討作業を進めた。情報通信技術の発達によって,匿名性の高い決済及び支払手段の利用が可能になることに加え,国家の関与がない経済取引も可能になる。そして,このような経済取引行う経済圏が拡大することに対して,現行の消費税がどこまで対応が可能であるかについて検討を行った。また,消費税の仕組みが貨幣とは不可分の関係にある点も明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で予定していた作業を進めることができ,研究成果として所得課税と消費税に関する日本語論文を公刊することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画で予定していた作業を引き続き進める予定である。また,近年の情報通信技術の発達や取引環境は急減に進んでいることから,これらの状況も含めた検討を作業を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の出張をキャンセルしたことに加え,購入した物品の納入が年度内に間に合わなかったためである。次年度の旅費と物品費として使用する予定である。
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