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2021 年度 実施状況報告書

国際私法における「情報の法」の序論的検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K12643
研究機関成蹊大学

研究代表者

羽賀 由利子  成蹊大学, 法学部, 教授 (90709271)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード準拠法 / 知的財産 / 情報 / データ
研究実績の概要

渉外的な情報及び無体財産の流通に関して生じる法的問題についての検討に取り組んだ。特に、デジタル・プラットフォームの国境を超える活動は世界経済でも強大な位置を占めるが、今日における情報収集の主体の代表的存在である。そこで、プラットフォームにおいて生じ得る法的問題の分析及びプラットフォームに関連するアクターの責任についての分析に取り組んでいる。
プラットフォーム経済においては多様な問題が生じ得る。プラットフォーム自体あるいはそこに参加する事業者による消費者の情報収集に関しては、プライバシー侵害と個人情報保護法などの公法的枠組みが複雑に絡み合う問題状況にある。個人情報保護法制は従来、自国領域内における情報の収集及び利用を前提とするが、プラットフォーム経済においてはその性質上問題が極めてしばしば越境的なものとなる。そこで、適用範囲について理論がより明確化されなければならない。
消費者保護について、プラットフォーム自体との直接取引において保護されることは当然であるが、プラットフォームが提供した「場」における取引において損害を受けた消費者に対する(取引当事者とは別の)プラットフォームの責任、プラットフォーム内のレーティングによる「強い」消費者の存在をどのように取り扱うか、等の新たな問題が生じる。
労働者保護についても、引き合わせ・仲介型プラットフォームにおいては、あたかも労働者ながら法的に労働者と取り扱えないアクターが出現する可能性がある。このような立場に置かれた者を弱者保護規定の対象とすべきかについては議論の余地がある。このように、プラットフォームという「場」の提供者の間接的責任、プラットフォーム経済における弱者についての分析にも取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今般のコロナ禍において、特に国際学会における報告等は実施できない状況が続いているが、その分、本研究が対象とする論点について理論研究を進めている。特に出張については所定の計画からの大きな変更が必要となる現状であるが、世界の状況に応じて次年度以降に臨機応変に展開するものとする。現時点では、国内の議論及び文献調査から見いだされる外国の議論を中心に理論的分析を進めている。

今後の研究の推進方策

デジタル・プラットフォームに関する法的議論についての分析を深化する。とりわけ準拠法問題について、最も密接な関係がある地の法としてのプラットフォーム内の規則の位置づけについての考察を進める。
加えて、従来の法的枠組みにおいて準備されている弱者保護規定がプラットフォーム経済においても妥当するか、するならばどの程度か、限界があるならばどのような手当てがなされるべきかといった点についての検討に取り組む。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍による海外学会への参加が不可能になったこと、所属機関変更にかかる研究遂行計画の変更により次年度使用額が生じた。外国への移動制限が緩和され、対面開催の学会などの復活に伴い、これらの学会への参加(及びその移動費)を次年度使用額から支出する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 当事者適格2021

    • 著者名/発表者名
      羽賀由利子
    • 雑誌名

      別冊ジュリスト[国際私法判例百選(第3版)]

      巻: 256 ページ: 184-185

  • [学会発表] デジタルプラットフォームと渉外民事紛争2021

    • 著者名/発表者名
      羽賀由利子
    • 学会等名
      第22回北陸国際関係私法研究会
  • [学会発表] 職務著作に関する準拠法2021

    • 著者名/発表者名
      羽賀由利子
    • 学会等名
      第25回北陸国際関係私法研究会
  • [学会発表] 訴訟担当における当事者適格の準拠法2021

    • 著者名/発表者名
      羽賀由利子
    • 学会等名
      第19回北陸国際関係私法研究会

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公開日: 2022-12-28  

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