研究実績の概要 |
本研究の目的は、Public Private Partnership(以下、PPP)と呼ばれる法的結合形態のうち、国際組織と私的アクターの間のPPPに焦点を当てて、これらが国際法学、特に国際組織法学にいかなる影響をもちうるのかを検討することにある。研究計画の延長後の最終年度である令和4年度は、世界銀行という普遍的な国際組織における新展開を検討し、また、また研究を総括する作業を行なった。主たる研究成果として以下のものがある。 ・私的アクター、国家アクター、そして国際組織(世界銀行)が交錯する開発援助、特に世界銀行の融資プロジェクトにおけるアクター間の責任配分について、以下の口頭発表を行った。「世界銀行融資を規律する法とSDGs――環境社会枠組(ESF)を素材に―― 」日本国際経済法学会第32回(2022年度)研究大会シンポジウム「国際的な経済活動と持続可能な開発目標(SDGs)――資本主義の新たな挑戦――」 2022年11月19日。「開発協力と法―世界銀行の融資基準を例に」アジア国際法学会日本協会 国際法研究者・実務家勉強会 2022年8月31日。 ・世界銀行融資プロジェクトにおいて人権侵害や環境破壊が生じた場合の制度的な対応として、2020年に世界銀行が新設した「アカウンタビリティ・メカニズム」がある。本制度の検討として、以下の論文を公表した。「世界銀行アカウンタビリティ・メカニズム:その制度と特徴について 」武蔵野法学 (18) 149-127 2023年3月、"Resolution establishing the World Bank Accountability Mechanism,"Oxford Public International Law, Oxford International Organizations OXIO 686 2022年9月。 ・PPPを活用している国際組織である世界保健機関(WHO)の緊急事態宣言に関する実行を分析した論文を『国際秩序が揺らぐとき: 歴史・理論・国際法からみる変容 (法政大学現代法研究所叢書 50) 』に寄稿した。
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