情報技術の急激な進化によって、事業者が取りうる戦略的行動の幅は拡大し、企業の戦略的行動によって消費者の利益が害されるのかどうかについて検討を要する状況は、多様化している。本研究は、特に、実務的にもよく用いられているロイヤルティースキームと無料戦略に焦点を当てて、それらの戦略的行動に関連して消費者の利益が侵害され、独禁法や景表法による介入が求められるのがどのような場合なのかを解明した。これは、競争法における消費者利益の位置づけをめぐる理論の深化に資するとともに、実務的にも、今後の規制を考えるうえで有意義な提案を構成するものである。
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